休眠担保権(3)|大阪市淀川区の白石司法書士事務所
11月も下旬に突入。ここまで来るとあっという間に年末年始突入となりますが、1年が過ぎるのは本当に早いものです。ブログの更新を忘れていた訳ではないのですが、すっかり間が空いてしまいました。
さて、休眠担保権第3回。
今回は「担保権者が個人や、金融機関以外の法人で全く居所がしれない時はどうすればいいか?」というテーマです。
担保権の抹消は権利者(一般的には不動産の所有者)と担保権者が共同で登記申請をするのが原則です。
しかしテーマに掲げたように共同で申請をする相手方が見つからない場合は、次の方法を使えば権利者が単独で抹消登記を申請出来ます。
その方法とは…
(1)裁判により抹消登記をする旨の判決を得たとき
(2)公示催告の申立てをしたうえで除権決定を得たとき
(3)債権証書及び債権並びに最後の2年分の定期金の受取証書があるとき
(4)債権の弁済期より20年を経過し、かつその期間の経過した後、債権、利息及び債務の不履行により生じた損害の全額に相当する金銭の供託をしたとき
の4つです。
ただし、(1)は裁判ですので時間も手間もかかり、なかなかハードルが高いです。
一方、(2)~(4)は裁判によらない手続きとなっており、比較的選択しやすいものとなっております。(それでも普通の抹消登記よりはかなり難易度が上がります。)
(2)は裁判所で手続をするものですが、なかなかに条件が厳しく採用することはまずありません。
(3)は弁済に関する資料が必要ですが、債権者が行方不明になっている事案で詳細な資料が残っているケースというのは体験したことがありません。
そこで現実的に取り得る選択肢は(4)となります。
当事務所でも一番利用頻度が高い(というか99%こちらを採用します)手続です。
(4)の文言を読むと「債権、利息及び債務の不履行により生じた損害の全額に相当する金銭の供託」とあります。
つまり債権額1000万円の抵当権であれば、1000万+利息・損害金を供託する必要があります。
これだけ聞くと無茶な感じに思えてきますが、一般的に債権者の動向が不明なパターンというのは、はるか昔に設定されている担保権が多いです。
そのため債権額が数百円~数万円、利息が○銭○歩のような数字になっているケースが多く、これであればまだ供託できるという金額になることが大半です。
さて、3回に渡って簡単にご案内した休眠担保権抹消手続きですが、手続選択やその進め方など、通常の抹消登記とは一線を画す内容になっております。
そのためご自身でお手続きをされるよりも、このような場合は迷わず司法書士へご相談されることをオススメ致します。
大阪市淀川区の白石司法書士事務所は昭和や大正はもちろん、明治時代から放置されている担保権にも数多く対応してきた実績があります。
お困りになられましたら、まずは一度白石司法書士事務所へご相談下さい!
2021年11月22日 10:29