権利証紛失の場合(2)|大阪市淀川区の白石司法書士事務所
ここ数日はかなり冷え込んでいますが、明日からはまた暖かくなるようで体調管理が難しい日が続きますね。さて、本日は権利証書を無くしたらどうなるのか…というお話です。
ちなみに現在は行政手続きオンライン化の一環として、「権利証書」ではなく「登記識別情報」というものに名称が変わっています。
意味するところは同じですので、今回はイメージしやすい権利証書という言葉でご案内します。
権利証書とは登記名義人であること(所有権の名義人であれば、物件の所有者)を証明するための書面です。
あくまでも、証明のための一資料に過ぎないため、権利証書を紛失したり、盗まれたとしても、それは権利が無くなるということではありません。
他者に名義を変更するには権利証書の他にも印鑑証明書や実印を押印した書類などが必要です。
権利証書はそういった書類の中の一つに過ぎません。
無くなっても権利が失われないなら、そんなに重要な書類ではないということか…と言うとそうではありません。
なぜなら、容易に再発行が可能な印鑑証明書等とは異なり、権利証書は再発行することが出来ません。
一度権利証書を紛失してしまうと、その物件は権利証書が存在しない物件となってしまいます。
では、そのような物件は書類不足で名義変更出来なくなってしまうのでしょうか。
そこは一応国が作った制度ということで、ちゃんと代替手段が用意されています。
代替手段は2つあり、それぞれ「事前通知制度」「資格者本人確認情報」といいます。
まずは「事前通知制度」からご案内します。
先程もご説明したとおり、権利証書というのは本人確認のための一資料です。
登記申請先である法務局は、登記申請した人が本人であるかどうかの確認を面前でしたりはしません。
代わりに本人だけが所持しているであろう重要書類(権利証書)を提出させることで、「権利証書が提出出来ると言うことは、本人が自身の意思に基づいてこの申請をしているに違いない」と判断し、手続きを進めます。
そのため、権利証書が提出されない場合、法務局は別の手段で本人であることの確認をしようとします。
その一つが「事前通知制度」です。
これは、申請を受けた法務局が、申請人宛に「本当にあなたが登記申請をしたということで間違いないですか?」という書面を送付し、その書面に申請人が署名捺印(実印)をして送り返すことによって本人確認に代えるというものです。
法務局からの郵便物は「本人限定受取郵便」という代理人による受領が出来ない特殊な方法で送付されます。
そのため、書面を受けるのは申請人本人に限られることから、その書面が返送されてきた=本人の意思確認OKと判断出来るということです。
なお、事前通知制度を取った場合、法務局より書面発送~法務局へ返信到着まで2週間以内に行わなければなりません。
この期限を過ぎた場合、申請は却下されることとなります。
本人限定受取郵便は受領方法の特殊性から、日中お忙しい方はなかなか受け取りにくい郵便物となっているため、期限が過ぎないように注意が必要です。
少し長くなりましたので、今日はこの辺りで。
次回は「資格者本人確認情報」や、各方法のメリット・デメリットについてご案内したいと思います。
もし権利証書を紛失して、手続きをどうすれば良いかお悩みの方がおられましたら、大阪市淀川区の白石司法書士事務所にお任せ下さい。
2019年11月22日 14:34