遺言書の作成(2)|大阪市淀川区の白石司法書士事務所
ようやく暖かくなってきましたが、花粉症の方には辛い季節になってきました。毎年この時期は体調を崩すことも多く、鼻水が出たり喉が痛くなるとその度に「今年こそ花粉症デビューしてしまったか・・・」などと思うのですが、なんとかギリギリ土俵際で留まっています。
花粉症は免疫力が高い方ほど発症するとのことですが、自身の免疫力がこのまま鈍感であってくれる事を切に願っています。
さて、今回は遺言書の種類についてご案内したいと思います。
遺言書はその書き方が民法によって細かく規定されており、その方式に合っていなければ無効とされます。
これは遺言書のが本物であるかどうか、また効力があるかどうかという点で争いが起きやすいからです。
残念ながら相続手続きにおいては相続人間の争いがつきものです。遺言書があっても内容を不服として相続人間で効力が争われた場合、方式が自由であればそれを確認するのは容易ではありません。
そのため、民法では厳格に書き方を定め、それに合わない遺言は無効とすることが定められました。
種類としては大きく分けて「普通の方式」と「特殊な方式」の2つです。このうち、後者は亡くなる寸前に緊急的に行う場合や、船舶が遭難した場合などの規定となっています。
ただし、こういった状況は本当に稀なケースだと思いますので、通常は「普通の方式」のみを考えておけば問題ありません。
「普通の方式」には次の3つの方法が定められていますが、本日は自筆証書遺言についてご案内します。
・自筆証書遺言
遺言書において一番簡単に作成出来る方法です。
要件は
1.遺言書の文面、日付、氏名の自書
2.押印
の2つのみです。
遺言書と言うと「書いたあとは封をして厳重にしまっておく」というもののように思えますが、封をしないといけないという決まりはありません。とはいえ、そのまま「誰でも見ていいよ」という状態にしておくものでもありませんので、なるべく封して保管されることをお勧め致します。
また、先日の法改正で遺言書の文面のうち「財産の目録」にあたる部分はパソコンで作成しても有効であるとされました(例えば「別紙記載の不動産は○○に相続させる」と自書し、別紙をパソコンで作成するなど)ので、自書の量を減らすことが可能になりました。
自筆証書遺言のメリットとしては1人でどこでも気軽に作成できるという点です。
他の方式と違い証人を立てたりする必要がないため、遺言書の内容を秘密にしておくことが出来ます。(遺言書を書いたという事実すらも秘密に出来ます。)
また、全てご自身で作成されるということであれば、費用も用紙代くらいです。
自筆証書遺言のデメリットとしては、まず遺言書が発見されない恐れがある点です。これは秘密に出来るメリットと表裏一体です。
次に遺言書の効力が生じた際に裁判所で検認手続というものを経る必要がある点も挙げられます。
検認手続とは、家庭裁判所に相続人全員を集め、裁判官の前で「自筆の遺言書があったので、相続人みんなで確認しましょう」というものです。裁判所の呼び出しに対し応じるかは任意ですが、呼び出し自体は全相続人になされますので、これにより遺言書の存在が全相続人に知れ渡る事となります。
また、全てをご自身で作成ということになりますと、その遺言が有効に機能するかどうかの保証が無い点もデメリットの一つです。
前回の更新でもご案内したとおり、遺言書は相続発生後の各種手続きに使えないと意味がありません。そして手続きに使用するには出来るだけ具体的な内容とされるのが望ましいです。
例えば「不動産は住所ではなく登記簿上の表示で特定する」「銀行は支店名・口座番号を明記する(残高の記載しなくても問題ありません)」などです。
もちろん細かく分けずに「全財産を○○に相続させる」といった記載でも手続きには使用可能です。
これは全財産という形で財産を特定した記載になっています。
一方で手続きに使用しづらい書き方としては「財産を○○に相続させる」といったものです。
「全」が無いだけで意図するところは同じ場合が多いですが、「全」が無いとどの財産を相続させる遺志であったかが判断出来ないため、手続きに使用するのは難しいと判断せざるを得ない場合があります。
この様に、一見お手軽な自筆証書遺言ですが、内容自体は良く確認して書くことが求められます。
白石司法書士事務所では、今まで数多くの自筆証書遺言の原案作成を受託してきた経験から、内容について間違いのないものをご提案することが可能です。
また、本年7月より自筆証書遺言でも検認手続を不要とする事が出来る制度がスタートするため、グッと使い勝手も良くなります。
「財産の配分は決まっているが、具体的にどう記載すれば良いか分からない」
「遺言書に興味はあるので、どういった種類があるか聞いてみたい」
このようなお悩みをお持ちの方は、一度大阪市淀川区の白石司法書士事務所までご相談下さい!
2019年03月07日 16:25